X線散乱の大部分は、X線の電場と電子の電荷との相互作用による電荷散乱である。 そのため、 中性子回折法に比べ、X線回折は磁気構造解析には不向きと考えられてきた。 しかし、X線の偏光の基底状態を円偏光オペレータで記述する (Fig. 1)とスピンが顔を出し、 アナライザーなしで 磁気結晶構造解析を行う場合のX線共鳴磁気散乱を描写できる(CP-RXMS法)。 @吸収端で共鳴磁気散乱と非共鳴磁気散乱を同列で観測でき、 Aトムソン項が掛かる効果から、 磁気散乱の非対称度が強くなり、 B電子遷移と関連づけられる (Fig. 2)、という特徴をもつ。
電子とフォトン
自然
自然は正直だ...(@ PF実験)
固体中の電子は多体系として結晶の対称性に従い強相関電子系の現象を発現する。例えばそれを、軌道との相互作用で スピン(電子の属性)に触れると、身近にあふれる素粒子(電子とその電磁相互作用をつかさどるゲージ粒子フォトン) の片鱗が垣間見えるかも。
Fig. 1 円偏光
結晶性○○を |
流動性○○を |
Fig. 3, Fe3O4 (Fe K pre-edge).
Fig. 2, GdIG (Fe K pre-edge).
CP-RXMS |
電子とフォトン |
自然 |
生命 |
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マグネタイトのFe磁性電子の電子遷移 (Fig. 3)。磁気円二色性などの分光法では、観測すべき磁気モーメントが相殺されてしまうが、 ブラッグ反射の回折を用いると、Aサイト寄与の026反射とBサイト寄与の266反射のCP-RXMSが独立に測定できる(席選択性)。
前述のCP-RXMSは運動学的回折理論に基づく。その近似は、二乗していることで、結晶を利用して実際の電子の描像を調べるのに意外といいかもしれない。 電子のスピンに対応し偏光の性質をもつフォトン(X線)、それに共鳴し電子遷移する電子、更に周辺電子と影響し合う姿、 それらを電子密度分布の観測から求められないだろうか?
CP-RXMS法を用いると、非共鳴電子をも含めた磁気構造解析が可能になり、 超交換相互作用にかかわる磁性電子が観測できる。
生命の発生と自己複製
CP-RXMS(円偏光X線共鳴磁気散乱)法