物質物理ユーザーグループ
動的構造解析小グループは、新日鐵住金(株)・高エネ研との共同研究行っている。 高温雰囲気炉や電気化学反応セル搭載多軸回折計により、様々なin situ X線回折測定実験を行っている。PILATUS検出器やイメージングプレートで二次元回折像を得て、不均一試料や表面・界面における構造変化の情報を研究している。
図6には、Fe2O3-CaO混合物の昇温過程1529K における二次元X線回折像および回折像の積分により得たX線回折パターン (昇温速度30
K/min)。Ca-Fe-O融液およびCaFe4O7の一部生成が観察される。
A high temperature diffraction pattern corresponds to the diffraction image
(bottom) for a Fe2O3-CaO mixture taken at 1529K during heating at the rate
of 30K/min. Ca-Fe-O melt and CaFe4O7 phase was partially formed.
図8には、前吸収端とより低エネルギー側で測定した積分反射強度に基づいて求めたマグネタイトのAサイトとBサイトを占めるFe原子の部分電子密度分布である。前吸収端での電子遷移の違いを反映しているFeの電子密度ピークはAサイトもBサイトも共に負になっている。
happo@@hiroshima-cu.ac.jp
小グループ代表者: 八方 直久 (広島市大)
表面回折小グループは、京都大学と物質・材料研究機構のメンバーによって構成されている。 当グループでは、薄膜四軸回折計を用いたin-plane回折法による酸化物表面の構造解析、
エピタクシャル成長薄膜の解析、表面反応のin-situ測定等を中心に研究を進めている。
右図では、放射光in-plane回折法の活用により、二次元六方晶の酸化ルテニウムナノシート1)がトポタクティックに二次元六方細密充填構造をとるルテニウム金属ナノシート2)へと構造転移することを示している。
The SR in-plane XRD diffraction analysis revealed that Ru metal nanosheets
with a 2D hexagonal symmetry2) were fabricated via topotactic metallizatoin
of exfoliated ruthenate nanosheets1). Theobtained Ru metal nanosheets would
be promising for device and catalysis applications as a new class of versatile
nano-metals.
蛍光X線ホログラフィーは、単結晶中の特定元素周辺の三次元原子配置を可視化する手法である。 試料の方位を様々に変化させた際の二次元的な蛍光X線の強度変化を観測することにより、
ホログラムを記録する。ドーパント周辺の局所構造の解明に有効であり、図3のように、 複雑な混晶系においては短距離および中距離秩序が観測できる。
小グループ代表者: 村尾 玲子 (新日鐵住金)
kazumasa@@imr.tohoku.ac.jp
小グループ代表者: 奥部 真樹 (東工大)
yashima@@materia.titech.ac.jp
図7、Fe K 吸収端でのFe酸化物のXANESと化学シフト
imafukum@@tcu.ac.jp
図5、二次元六方晶の酸化ルテニウムナノシートの構造転移
k-fukuda@@saci.kyoto-u.ac.jp
図3、ZnTeおよびZn0.4Mn0.6TeのTe面の原子像
図2、マグネタイトにおけるFeの共鳴磁気散乱因子とLSDA計算のDOSとの比較。
図1、BaフェライトBaTiCoFe10O19でのFe原子の磁気モーメントの傾き
図6、Fe2O3-CaO混合物のX線回折パターン
材料の開発や基礎研究を推進するため、物理学・化学・結晶学などの研究手法と放射光を利用して、物質の構造・物性や機能を解明することを目的としています。研究手段の多様性のため、実験技術ごとに専門の研究推進小グループを形成して対応しています。
murao.5gg.reiko@@jp.nssmc.com
makisan@@lipro.msl.titech.ac.jp
Materials Physics Group (MPG)
その他にも、偏光解析、 ATS散乱実験、共鳴散乱実験、XMCD測定、完全構造解析などを行っている
グループ代表: 奥部 真樹 (東工大)
PF 所内担当者: 河田 洋 (KEK)
小グループ代表者: 八島 正知 (東工大)
図8、magnetiteのAサイト(a)と Bサイト(b)中Fe原子の部分電子密度分布
精密構造解析グループでは、吸収端で原子散乱因子に大きな差をつけることで、結晶構造因子への寄与を大きし精密な結晶構造を解析している。図7には、価数を区別する場合に利用するXANESスペクトルの一例を示す。
小グループ代表者: 杉山 和正 (東北大)
小グループ代表者: 今福 宗行 (東京都市大)
小グループ代表者: 福田 勝利 (京都大)
共鳴磁気散乱グループでは、磁性原子の波長選択性や特定の電子遷移を利用して、共鳴磁気散乱からスピン分極や磁性電子密度を研究している。図1は、円偏光反転による非対称度からBaフェライト中のFe原子について、各サイト毎にf"mを求め、その大きさから見積ったスピンの傾き角である。この実験には、BL-6C設置の大型3軸4円回折計を用いている。
図2は、マグネタイトの共鳴磁気散乱強度(非対称度)から求めたf"mのエネルギー依存性である。吸収端での電子遷移と関係づけられ、LSDA計算ともよく合っている。
2017.01.18 revised version ss
図4、混晶半導体 In0.995Ga0.005Sb の蛍光X線ホログラフィーの結果。(a)測定した Ga-Kα ホログラム。(b)Ga 周辺の原子像。以前の研究結果のZn0.4Mn0.6Teが第5結合までの広い範囲でひずんでいるのに対して、In0.995Ga0.005Sb
の格子ひずみは、第2配位までの限定的な範囲であると考えられる。
Result of XHF for In0.995Ga0.005Sb mixed semiconductor crystal. (a) Ga-Kα
hologram. (b) Reconstructed atomic images around Ga atom. It is concluded
that lattice distortions are limited within the second neighbors in this
mixed crystal, in contrast to five chemical bonds in other mixed crystal
of Zn0.4Mn0.6Te reported previously.