BL-6C X線回折・散乱実験ステーション

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動的構造解析小グループでは、多軸回折計に高温雰囲気炉や、電気化学反応セルを設置し、様々なin situ X線回折測定実験を行っている。PILATUS検出器やイメージングプレートで二次元回折像を取得することで、不均一な試料や表面・界面における構造変化の情報を得ることが可能である。 尚、本装置は民間共同研究で設置されており、現在のところ、新日鐵住金(株)・高エネ研との共同研究でのみ利用が可能となっている。

3、実験装置

担当者: 河田 洋(5634)

(4) 蛍光X線ホログラフィー測定装置

(6) 多結晶用応力測定装置

図1、ビームラインBL-6Cの平面図

図2、二結晶モノクロメータとシリンドリカル・ベントミラー

BL-6C設置の3軸4円回折計は、交差精度に優れているとともにエンコーダー管理されている。オフ・センターのχサークルの内径は370 mm、外径は494 mmである。本回折計は、ゴニオメーター上に高温加熱炉やクライオスタットなどを搭載して、in-situ測定ができるという特徴を有す。この3軸4円回折計はTsujiインターフェースを通してPF標準のSTARSで制御されている。回折計の性能を表に示す。また、偏光解析装置やHeクライオスタットなどの付属装置がある。

hiroshi.kawata@kek.jp

蛍光X線ホログラフィーは単結晶中の特定元素周辺の三次元原子配置を可視化する手法である。試料の方位を様々に変化させた際の二次元的な蛍光X線の強度変化を観測することにより、ホログラムを記録する。高強度の単色X線を要するために、ミラーによる集光が必要である。試料の角度走査には持ち込みの回折計を用いている。蛍光X線の検出システムは特殊なものであり、実験自体も独特であるため、本小グループメンバーとの共同実験という形で行うのが望ましく、事前に小グループ代表者に相談すること。共同利用実験に申請する際には、申請前に協力グループ代表者ならびに小グループ代表者に連絡をすること。

図12、多結晶残留応力測定用ゴニオメータ

図7、AFC-5u型4軸回折計と集光ミラー

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 交差精度  5 micron meter程度
 制御ソフト  MSC (MS-DOS)
 最大スピード  2000 ~ 1000 deg/min
 測定スピード  1/8 ~ 128 omega-deg/min

BL-6Cの回折計は、リガク・インターフェースとHitachi 2050/32で制御されていたが、2009年11月から、STARS (Simple Transmission and Retrieval System; http://stars.kek.jp)1) 通信制御を利用した新システムに移行し、ビームライン・装置制御の統一化が図られた。これにより、BL-6C LANを通じ、光学系、移相子、6軸回折計、架台等の制御やX線測定が統一的に行えるようになった。メインPC (現、Windows 7) からは、BL-6C LANを介して、パルスモータコントローラやシリアルデバイスサーバに接続される。BL-6C制御システムの全体構成を図3に示す。パネルから制御できるほか、実験に合わせた測定用ソフトウエアがある。

1、概要

図10、蛍光X線ホログラフィー測定装置

3軸4円回折計に、回転試料台、Si(111)アナライザー結晶、シンチレーション カウンターを用いて、比較的角度分解能が高いデータを測定し、粉末X線回折法の研究を 行っている。局所パターンの測定に適しているが、トータルパターンを測定して Rietveld解析やMEM解析を行うことも可能である。空気中1500度C程度まで試料を加熱できる試料高温加熱装置や、室温から約15 Kまでの測定が可能なHe循環型冷却装置がある。

協力グループ代表者: 奥部 真樹

(東京工業大学 045-924-5383)

位置敏感型比例計数管を装備した多結晶用応力測定装置を用いたサイン二乗プサイ法による微小部残留応力測定(測定領域最小φ0.1mm程度)、および、イメージングプレートを用いたcosα法による平面応力・三軸応力測定、ならびに細束X線回折像観察が可能である。利用条件等の詳細については残留応力小グループに直接問い合わせ、共同利用実験申請の際には、申請前に小グループ代表者に連絡をすること。

2、性能

 本実験ステーションでは、X線領域の回折・散乱・吸収実験の中で、特に、精密構造解析、表面回折、蛍光X線ホログラフィー、 共鳴磁気散乱、動的構造解析、残留応力測定に特化したX線実験を行っている。2006年にBL-3Aから移設が行われ、2007年1月17日からビーム利用を、翌週から共同利用を開始した。
 光学系は二結晶モノクロメータとシリンドリカル・ベントミラーで構成されており、2次元集光の単色X線ビームラインとなっている。光学系レイアウトの制約から高エネルギーX線の集光が困難であったが、2013年度には分光器とミラーが前方に移設され、フルスペックとなった。
 実験装置として3軸4円回折計、4軸回折計AFC-5u、薄膜評価用表面回折計と動的構造解析用多軸回折計が常設されており、物質物理実験の専用ステーションである。 また、必要に応じ、残留応力やホログラフィーの測定装置が搬入される。2006年度後半から、 物質物理グループが協力ビームラインとして運営を行っている。グループでは実験技術ごとに小グループを形成し、その実験技術の範囲内で研究分野を サポートしている。

4、その他

協力ビームラインであるため、利用申請の前に必ず協力グループ代表者ならびに小グループ代表者に連絡されることを希望します。また、ビームタイムは小グループ毎にまとまって配分されるため、実験の日程で制約を受けることにご注意ください。

Version: 2017-01-18 ss

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図11、BL-6Cに設置した多軸回折計

図13、高温加熱装置と3軸4円回折計

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図5、4軸型X線回折計と移相子

共鳴磁気散乱実験では、遷移金属イオンのスピン状態の差を、円偏光反転や磁場反転を通して観測する。磁性電子の非占有軌道が関係する電子遷移を標的に,吸収端でX線回折実験を行っている。ゴニオメータヘッドに設置可能な小型の希土類磁石を用いる。磁性電子が関係する電子遷移エネルギーの選択には、f"mやXMCDのE依存結果を利用する。

図8、移相子スキャンの結果

図9、AFC-5uとダイヤモンドアンビルセル

図4、回折計・架台制御パネル

図3、BL-6C制御系

(5) 動的構造解析用多軸回折計

精密構造解析・極端条件測定

共鳴磁気散乱測定

図6、薄膜評価用in-plane回折計

makisan@imr.tohoku.ac.jp

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(2) 薄膜評価用表面回折計

 光学系  Si(111)二結晶モノクロメータ+シリンドリカル・ベントミラー
 エネルギー領域  6~20 keV
 エネルギー分解能  ΔE/E~10-4
 光学系制御  STARS

English

放射光直線偏光を透過型ダイヤモンド移相子を用いて円偏光X線を生成することで、散乱角に関係なく偏光因子p = 1の状態で、AFC-5uを利用した遷移金属K吸収端での単結晶精密構造解析が実施できる。
ただし、DACなどを10 keV以上のX線とともに利用する場合には、直線偏光を利用した2theta<60 deg 程度の低角反射のみに限定した積分反射強度測定となる。

(3) AFC-5u・4軸回折計


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(7) 高温粉末X線回折計

BL-6Cで円偏光を利用すると、交差精度のよい小型の水平型4軸回折計(市販、Rigaku製、AFC5)が放射光回折実験に利用できる。この4軸回折計は、異常散乱元素の含有率が高くて蛍光X線によるバックグラウンド等を無視できない実験に対し、2次元検出器では得られない高精度での測定を可能にする。吸収端での共鳴散乱や共鳴磁気ブラッグ散乱に利用されている。

表面回折小グループ (NIMS&京大) では、in-plane回折による酸化物表面の構造解析、エピタクシャル成長薄膜の解析、表面反応のin-situ測定等を行っている。本回折計を利用する条件として、(1)課題申請前に担当者と相談すること、および(2)担当者と共同実験の形でのみ受入れが可能である、ことを希望する(必須)。

ハッチ内上流から、移相子ゴニオ、AFC-5u型4軸回折計、大型の3軸4円回折計が設置されている。

 
角度範囲
ステップ
角度精度
エンコーダー
4円回折部
ω
-150º~150º
0.000025º
0.001º
Heidenhein, ROD800
-30º~170º
0.0002º
0.01º
Nikon, RXB100
χ
-130º~190º
0.0002º
0.01º
Nikon, RXB100
φ
-180º~180º
0.0005º
0.01º
Nikon, RXB250
アナライザー部
θ(a)
-150º~150º
0.0002º
0.01º
Nikon, RXB200
2θ(a)
-150º~150º
0.0002º
0.01º
Nikon, RXB200
コリメーター部
θ(c)
-150º~150º
0.0002º
0.01º
 
2θ(c)
-150º~150º
0.0004º
0.01º
 
架台部
Z
-40~120mm
0.00067mm
 
 
X
-40~10mm
0.0002mm
 
 
θ(b)
-2.5º~2.5º
0.00001º
 
 

(1) 3軸4円回折計